人生で最も辛かった時期は、社会人5〜9年目くらいです。

難病である潰瘍性大腸炎の再発リスクを抱えながら激務を乗り越えた時でした。学部生時代に難病を発症した経験も大変でしたが、それ以上に厳しい状況だったと記憶しています。社会人7年目には、朝9時に出勤し、深夜2時に退勤する生活を数カ月間続けていました。この間、持病のことを周囲に打ち明けることなく、ただひたすら業務に向き合っていました。

その時携わっていたのは、マイナンバー制度の導入という前例のないプロジェクトでした。すべてが手探りの状況で、目の前のタスクを「処理」することに追われ、仕事の中身を「深める」ことに集中する余裕はほとんどありませんでした。「仏作って魂入れず」のような仕事だけは避けたいという信念を持っていましたが、制度の開始時期が決まっている中で、とにかく間に合わせることが最優先となり、自分の価値観さえ揺らぐほどのプレッシャーでした。

医師からは「ストレスをためないように」「規則正しい食事を心がけるように」「十分な睡眠を取るように」と忠告を受けていましたが、その言葉を守る余裕もなく、ヒヤヒヤしながら体調に気を配りつつ日々を過ごしていました。この時期は、自分の限界を試されるような毎日でしたが、それを乗り越えたことで得たものも多かったと思います。