26〜27歳のときです。
高校卒業後、医者の家系に育った私は、精神科医になりたいという思いから医学部を目指していました。しかし、体調を崩してしまい、療養生活を送りながら浪人する日々が続きました。その中で、体調の問題もあって、親から「希望している東京の大学への進学は難しい」と言われ、絶望感に打ちひしがれていました。
浪人生活が長引く中、飼い始めた愛犬が不安行動を示すようになり、その改善を切に望んだ私は、獣医学科への進学を決意しました。しかし、その挑戦が始まってから2〜3年が経ち、私が26〜27歳を迎える頃には、モチベーションが大きく低下していました。何をやってもうまくいかない状況に苦しみ、親からは「今まで一度も大学に受かったことがないだろう」と厳しい言葉をかけられる中、「国立大学の学部には受かる力があるが、受けていないだけだ」と反論しても、なかなか理解してもらえませんでした。このようなやりとりを繰り返す中で、自分が本当にやりたいことが何なのか、見失いかけていました。
もともと愛犬の不安行動を改善したいという思いで始めた獣医学科への挑戦でしたが、その情熱も次第に薄れていきました。状況を打開するために、私はネットを通じて獣医学科の学生たちと繋がり、情報収集を始めました。しかし、その大学には動物行動学の研究室がなく、専門家のサポートに依存していることを知ったとき、「この大学を受け続ける意味があるのか」と大いに迷いました。
さらに、その頃は獣医を目指しつつも、医師への未練を断ち切れず、自分が進むべき道を見失っていました。結果的には、自らの行動によって少しずつ状況を好転させることができましたが、この時期は本当に何をやっても思うようにいかず、路頭に迷っていたと感じています。
一番大きなきっかけは、水溜りボンドさんのYouTube動画を通じて知った「神宿」の一ノ瀬みかさんの存在です。当時、彼女の質問箱に家庭内の悩みや進路についての相談をしていました。「好きなことで低収入なのを高収入にするために頑張るのか、高収入だが嫌な仕事をするのか」という私の問いに対し、彼女は「好きな仕事で頑張るべき」とアドバイスしてくれました。また、親への対処法についても具体的な助言をいただきました。彼女の言葉が私にとって大きな励みになり、最後の浪人生活を乗り越える力となりました。
さらに、トランプ大統領(当時の再選候補者)の演説動画も私を奮い立たせました。彼が言っていた「お金持ちでも不幸な人はいるが、好きな仕事をしている人は幸せ」という言葉や、「挑戦は成功するまで諦めないこと」のメッセージが心に響きました。
ちょうどその頃、前年度入試で樹木に関する学科に合格していたこともあり、「好きな分野である樹木と動物福祉が学べる学科を東京で探し、それに挑戦しよう」と決意しました。結果的に、東京農工大学に合格し、樹木と動物行動学について学べる環境を手に入れることができました。そこでの充実した大学生活の後、学士編入という形で麻布大学の獣医学科に合格し、現在に至ります。
このように、尊敬する人々からの言葉やアドバイス、そして自分の好きな分野への挑戦が、辛かった時期を乗り越える大きな支えとなりました。
長い間、苦しい思いをしている人は少なくないと思います。そんなとき、一度根本から考えを変えてみる機会や、さまざまな考えを吸収する時間を設けても良いのではないでしょうか。根本的な部分を見直すことで、意外と人生が好転していくこともあると思います。
また、私自身も占いに頼ってしまった時期がありました。不安定になると、つい占いに依存したくなる気持ちはよく分かります。でも、運気は結局のところ行動でしか変えられないのです。「思ったことはすべてやってみる」くらいの覚悟が必要だと思います。確かに、何もかもうまくいかない時期には、どれだけ行動しても結果が出ないこともあります。そんなときこそ、自分の根本的な思想を見直すことが重要です。思想がしっかりしていれば、運気は行動によって必ず打開できると信じています。
関東で専門的な資格を取得した後、九州で犬や猫の行動診療に取り組みたいと考えています。現状、九州には有資格者がほとんどおらず、周囲の話を聞く限り、動物福祉に関してはまだ遅れた考え方が根強く残っていると思います。例えば、犬を叱らずに行動を改善できる方法があるにもかかわらず、「叱ることが正しい」とする考えが未だに多くの場面で見受けられます。
東京でも完全に理解されているとは言い切れませんが、子育てにおいて暴力が家庭内虐待とされるように、犬に対しても同様の理解が広まってほしいと願っています。犬は人間の3歳児程度の知能を持っていると言われており、私自身が物心ついたのも3歳のときです。心の有無はさておき、周囲の人間が犬にとって良い環境を整えていくことが、彼らにとって幸せな生活を送るために必要だと思います。