新卒入社後に、プログラミングについていけず、大きな挫折を味わったときです。
大学では心理学を専攻していましたが、就職活動では「手に職をつけたい」という意向から、IT企業のシステムエンジニア職を志望し、新卒で入社しました。もともと謎解きやものづくりが好きで、それがプログラミングにも通じると聞いていたため、楽しみにしていました。
しかし、入社後の研修ではプログラミングを理解するのに苦労し、毎日ついていくのがやっとの状態でした(実際にはついていけていなかったかもしれません)。同期と比較すると、ITに関する資格を早めに取得していたことから、周りからは「苦戦していそうだけど、何とかなりそうな子」と思われていました。そのため、自分のしんどさを伝えても信じてもらえず、そのまま配属されました。
配属後の環境では、不明点を相談できる人がほとんどいない状況や、同期の中でも「できる人」だと思われていること、さらには「自分が何を分かっていないのかすら分からない」という状態が重なり、完全に心が折れてしまいました。最終的には、2017年12月に退職の相談をすることになりました。
新卒で入社したIT企業では、配属後5ヶ月で退職を相談しましたが、引き止められ、事務職にキャリアチェンジする形で継続することになりました。その結果、心身を立て直すことができました。しかし、その後も「手に職をつけたい」という思いがあり、簿記を取得した上で、2022年1月に未経験で経理職に転職しました。
経理職では、業務の中で開発業務に触れる機会が多くあり、そこから業務効率化に関わりたいという思いが芽生えました。そのため、さらに2024年1月に転職し、現在はIT企業で新卒時に挫折した技術職に再挑戦しています。
転職時の面接では、「ローコード開発(※)が中心で、プログラミングはほぼ不要。業務フローを整理し、それをどのようにソフト上で実現するかを考える業務なので、これまでの経験が活かせる」という説明を受けていました。そのため、「業務整理は楽しそうだし、苦手なプログラミングを避けつつ、技術職として手に職をつけるチャンスだ」と期待して入社しました。
しかし、実際の業務では想定以上にプログラミングの比重が高く、スクラッチ開発(※)ほどではないものの、新卒時の挫折感が再び押し寄せました。それでも今回は、新卒時とは異なり、分からないことをすぐに相談できる環境がありました。そのおかげで、少しずつ開発業務に向き合えるようになり、3ヶ月ほどで「新卒時には分からなかったことが次々と理解できる」気持ちよさを何度も経験しました。この過程で、開発業務の楽しさを実感するようになりました。
結果的に、面接時の説明と異なる部分も多く、未経験の私には苦戦する点も少なくありませんが、業務を謎解き感覚で取り組むことができています。これまでの経験を経て、挫折を乗り越えた先に、やりがいや楽しさを見つけられるようになりました。
※「ローコード開発」とは、高度なプログラミングスキルを必要とせず、視覚的な操作でアプリを開発できる手法のこと。
※「スクラッチ開発」とは、ソフトウェアやコンピュータシステムをゼロの状態から作り出す開発手法のこと。
「一度挫折したことでも、できるようになる可能性は十分に残っている」ということをお伝えしたいです。はじめに挫折を経験したとき、私は自分の無能さに絶望し、「もう一生プログラミングには関わらない」と決意するほどでした。しかし、6年越しに、成り行きとはいえプログラミングをメインとする職種に戻り、現在は楽しく業務に取り組んでいます。
大きな要因は「分からないことをすぐに聞ける人がいる」という環境の変化でした。新卒時には挫折感に打ちのめされましたが、その後の再チャレンジを通じて、自分が少しずつ成長していることを実感し、ついには「この職種、意外と向いているかもしれない」と思えるようになったのです。
最初に挫折したからといって、必ずしもその分野が自分に向いていないわけではありません。「挑戦する環境」と「時期」が整えば、できるようになる可能性は残されています。私自身の経験が、その一例として誰かの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。
先々月、リーダーの退職に伴い、私がリーダーを任されることになりました。プレイヤーだった頃とは異なるしんどさや課題もありますが、業務の割り振りや新人育成といったマネジメントの経験を積めることで、日々充実感を感じています。そして、やっと「この職種を続けていきたい」と心から思えるようになりました。
これから先、新たなライフイベントが訪れたとしても、この職種を続けていきたいと考えています。仕事や家庭の両方を大切にしながら、さらに自分自身のリフレッシュの時間も大事にしていきたいです。バランスを意識しながら前向きに進んでいくことで、仕事も家庭もより良いものにしていけると信じています。