私が最も辛かったのは、24歳で横浜市の実家を離れ、静岡県西伊豆町へ移住した1年目です。
もともと狩猟生活に興味があり、単身で山奥へ移り住みました。しかし、そこで直面したのは、自分の能力不足による「人間関係の悩み」でした。私は一度「不安」や「心配事」を抱えると、それを頭から離せず、長く引きずってしまう性格です。そのため、常に胃がキリキリと痛み、心が休まる時間がありませんでした。周囲には相談できる仲間もいましたが、解決策が見つからず、どうすればよいのか分からない日々が続きました。
実は私は、小・中学校では不登校、高校は中退し、引きこもりの時期もありました。社会に出た経験がほとんどなく、世間一般の常識も十分に身についていなかったため、周囲に迷惑をかけてしまうことも多々ありました。これまで辛いことから逃げ続けてきたツケが、この移住生活で一気に回ってきたのだと痛感しました。24歳で初めて実家を離れ、「自立しよう」と決意したものの、現実は想像以上に厳しく、諦めて実家に帰るべきか何度も悩みました。
西伊豆町で出会った方々の支えが、私にとって何よりも大きな助けとなりました。うまく関係を築けなかった人もいましたが、それ以上に親身になってくれる方が多く、右も左も分からなかった私に対して、本当に一からさまざまなことを教えてくれたり、相談に乗ってくれたりしました。そのおかげで、なんとか乗り越えることができました。
また、この出来事に限らず、私は壁にぶつかったときに「自分自身と向き合う」ことを大切にしています。自分の気持ちや、うまくいかないことを文字に起こして整理し、今後どうすべきかを考えるようにしています。私は落ち込みやすい性格ですが、その分、自分の欠点を見つけるのが得意です。だからこそ、毎晩ひとりで「反省会」を開き、自分自身と向き合う時間を持つようにしています。
私の原動力は、大きく分けて二つあります。ひとつは「周りの人の応援に応えたい」という気持ち、もうひとつは「圧倒的な自分へのコンプレックス」です。私は小学生の頃から先生や家族とうまく関係を築けず、フリースクールや不登校・引きこもりの支援機関を利用してきました。昔から、たくさんの人の助けを受けながら、なんとか日々を過ごしてきたのです。だからこそ、今の自分があるのは、多くの人の支えがあったからだと強く感じています。支えてもらった分、今度は私が誰かの支えになりたい――そう思いながら生きています。もうひとつの原動力である「自分へのコンプレックス」は、長年抱えてきた強い劣等感です。私は何かに打ち込んできたわけでもなく、同年代の人たちが学校や社会で活躍している間、何もできなかった。そんな自分への悔しさが、私の中に常にあります。それでも、「このまま終わってたまるか」という気持ちをバネにして、マイナスをエネルギーに変えながら、日々前へ進んでいます。
私は決してアドバイスできるような立場ではありませんが、それでも、「人生、何が起こるか分からない」「世の中、大抵のことはうまくいかないけれど、それでもなんとかなる」と思っています。
22歳までは、悩みの多い人生でした。しかし、23歳のときに狩猟免許を取得したことが、私の人生におけるひとつの大きな分岐点となりました。もともと狩猟に興味があったわけではなく、たまたま見たYouTubeの動画がきっかけで、突発的に始めました。そこからサバイバル生活を始め、狩猟免許を取得し、バイクで西伊豆まで向かい、しばらくテント暮らしをしながら温泉で人脈を広げるなど、さまざまな経験を経て、今の自分があります。
まさか自分がこんな生活を送ることになるとは、想像もしていませんでした。過去に不登校や引きこもりの時期があり、当時は「これが人生のどん底で、一番つらい」と思っていました。しかし、大人になり、社会に出てさまざまな人間関係や現実の厳しさを知るうちに、「あの頃の自分は、まだまだ生ぬるかったのかもしれない」と思うようになりました。これから先、生きていれば、きっとこれを超えるほどつらいこともあるでしょう。でも、その一方で、想像もしていなかったような素晴らしい出来事もあるかもしれません。だからこそ、そんな未来を楽しみにしながら、これからも生きていこうと思っています。
これまで支えてくれた人たちへの恩返しとして、不登校や引きこもりの人、人生に悩んでいる人たちを支えられるようになりたい――そんな野望があります。具体的には、雇用を生み出し、一般企業へステップアップするための場を提供することで、社会への架け橋となるような場所を作れたらと考えています。
とはいえ、「世の中、大抵のことはうまくいかない」と思っているので、ダメで元々、100回挑戦して1回うまくいけばラッキーくらいの気持ちで、いちいちへこたれずに挑戦し続けたいと思っています。何かを成し遂げたとしても、それは人生のほんの一部に過ぎません。それよりも、どんな状況でも「他人に対して優しくありたい」という気持ちを大切にしながら、これからの人生を歩んでいきたいと思います。